1958年岡山県生まれ。グラフィックデザイナー。日本デザインセンター代表取締役社長。武蔵野美術大学教授。日本グラフィックデザイナー協会副会長。
自らが代表を務める日本デザインセンターの社是に「本質を見極め、可視化する」を掲げ、グラフィックデザインの枠にとらわれず、展覧会のキュレーション、書籍の執筆、後進の育成などを通じて、未来の産業の可能性、デザインが持つ潜在力、一人ひとりに秘められた才能を「可視化」する活動を行う。
2002年よりアドバイザリーボードのメンバーとなり、いまや代表的な仕事のひとつとなっている無印良品のアートディレクションでは、日本に古くから引き継がれてきた「空(エンプティネス)」という概念を、ブランドの核となる思想に据え、広告や販促物からパッケージ、店舗、家、ホテルまで一貫したデザインを展開している。さらに、このエンプティネスという概念を援用し、さまざまな要素を受け入れる「器」という考え方のもと、松屋銀座、森ビル、蔦屋書店、GINZA SIX、MIKIMOTOなど名だたる企業のVI・ロゴマークのデザインを手掛ける。
「もの」のデザインとともに、「こと」のデザインにも力を入れ、その象徴的な仕事となっているのが展覧会のプロデュースだ。日常の延長にあるデザインの多彩な資源に目を向けた『RE-DESIGNー日常の21世紀』展(2000年、東京)を皮切りに、人間の感覚の中にデザインの資源が眠っていることを示した『HAPTICー五感の覚醒』展(2004年、東京)、ハイテク繊維の潜在力を表現した『TOKYO FIBERーSENSEWARE』展(2007年・2009年、パリ・ミラノ・東京)、日本のクルマの都市細胞化の可能性を問う『JAPAN CAR』展(2008年-2009年、パリ・ロンドン)、住まいの近未来をテーマにした『HOUSE VISION』展(2013年・2016年・2018年、東京・北京)などを通して、ものの捉え方や価値観を更新するヴィジョンの提示、さまざまな産業に秘められた潜在力の可視化を行い、世界に発信している。
長野オリンピック(1998年)の開・閉会式のプログラム、愛知万博(2005年)の公式ポスター、日本各地の旅館や酒蔵のブランディングなどを通して、日本のローカリティに根ざした価値や美意識を具現化するデザインにも力を入れ、日本の影響力強化を目的にした外務省の対外文化発信拠点として、2017-2018年に世界3都市にオープンした「JAPAN HOUSE」の総合プロデューサーも務めた。近年は、世界中を人々が往来する「遊動の時代」を見据え、観光分野における取り組みにも意欲を見せ、その一環として2019年7月にはWebサイト「低空飛行」を自ら立ち上げ、個人の視点から高解像度な日本紹介を始めるなど新たな試みも行っている。
武蔵野美術大学にて、毎年特定のテーマを設けて学生たちと研究に取り組んでいるゼミ「Ex-formation」をはじめとした後進の育成にも力を入れ、さらに国内外での講演やシンポジウムへの登壇や、『デザインのデザイン』(2003年、岩波書店)、『日本のデザイン』(2011年、岩波新書)、『白』(2008年、中央公論新社)、『白百』(2018年、中央公論新社)など数々の著作を通して、デザインの力や可能性を社会に啓蒙する活動も続けている。
主な受賞歴に、ニューヨークADC賞、SDA大賞、亀倉雄策賞、全国カレンダー展内閣総理大臣賞、東京ADC賞グランプリ、原弘賞、日本文化デザイン賞、毎日デザイン賞、講談社出版文化賞、世界インダストリアルデザインビエンナーレ大賞など。
原研哉 1958年生まれ。グラフィックデザイナー。日本デザインセンター代表取締役社長。武蔵野美術大学教授。 「RE-DESIGN―日常の21世紀」展をはじめ、「HAPTIC」「SENSEWARE」「Ex-formation」など既存の価値観を更新するキーワードを擁する展覧会や教育活動を展開。また、長野オリンピックの開・閉会式プログラムや、愛知万博のプロモーションでは、深く日本文化に根ざしたデザインを実践した。 2002年より無印良品のアートディレクター。松屋銀座、蔦屋書店、GINZASIXなどのVIを手掛ける。外務省「JAPANHOUSE」では総合プロデューサーを務めた。2019年Webサイト「低空飛行」を立ち上げ、観光分野に新たなアプローチを試みている。
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