クリエイター

太刀川英輔

Tachikawa Eisuke

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1981年神奈川県生まれ。デザインストラテジスト。NOSIGNER代表。慶應義塾大学特別招聘准教授。

ソーシャルデザインで美しい未来をつくること(デザインの社会実践)、発想の仕組みを解明し、社会の進化を生む変革者を増やすこと(デザインの知の構造化)を目標に掲げ、次世代エネルギー、地域活性、伝統産業、科学コミュニケーションなど、SDGs(持続可能な開発目標)の分野で数多くのデザインプロジェクトを手掛けている。

2003年に法政大学工学部を卒業後、2006年の慶應義塾大学大学院理工学部建築学科在学中にNOSIGNER(ノザイナー)を設立。「形の背景にある目に見えないもの(NO-SIGN)をつくる」という理念のもとに、建築、プロダクト、グラフィックデザインの分野に軸足を置きつつ、それらの専門性を横断したトータルディレクションも積極的に行っている。

代表作である「OLIVE」は、2011年の震災直後に立ち上げられたwikiサイト。世界中から、災害時の生活に有効な知識やアイデアが集められ、3週間で100万PVを達成。従来の「デザイン」という枠組みを超えた、集合知を活用した災害対策のデータベースとして機能している。また2015年に電通と共同でデザインおよび編集を手掛けた「東京防災」は、東京都の660万世帯に配布された防災ブック。警告色である黄色と黒のストライプをキーアイコンに用いて、もしもの時にも見つけやすい視認性や、災害を疑似体験するマンガ、対処法をわかりやすく図示したイラストなどを使用し、ユニバーサルデザインに配慮した一冊となっている。2020年には、コロナウィルス感染症(COVID-19)のパンデミックから命を守るために、世界中で考えられた知恵をまとめる共同編集ウェブサイト「PANDAID」を立ち上げた。

主な受賞に、「Design for Asia Award 2011」大賞・特別賞、ニューヨークADC Young Guns 7(世界の若手アートディレクター TOP50)、PENTAWARDS PLATINUM(パッケージデザイン食品部門世界最優秀賞)、グッドデザイン賞(2007・2009年)、「D&AD Award Wood Pencil」受賞(2016年)などがある。



2020.06.01

PANDAID (2020年)

感染症によるパンデミックから命を守るために立ち上げられた共同編集ウェブサイト。「科学的ファクトが示されているか」「誰でも実行に移せるものか」「科学的情報が魅力的に伝わるか」を掲載基準として情報提供をしている。プロジェクトには医療関係者・編集者・デザイナー・社会活動家など世界10カ国から協力しており、ボランティアスタッフも約300人以上が関わっている。関連動画は再生回数1,000,000回を超え、様々なメディアで取り上げられた。

YOXO (2019年)

横浜をイノベーションシティとして推進するための総合的なブランディングプロジェクト「YOXO(よくぞ)」のコンセプト設計とデザインを担当。「YOXO」という名称には、日本語の発音としての称賛の意味と、新たなチャレンジを示すコンセプト「YOKOHAMA CROSS OVER」の2つの意味を持たせている。さらに関内エリアに開設されたベンチャー企業支援事業の拠点「YOXO BOX」のネーミング・内装ディレクション・サインデザイン等も担当し、スタートアップから大企業、行政、研究機関などが立場を超えて協働できる空間に仕上げた。

TOKYO BOUSAI (2015年)

東京都が660万を超える全世帯に配布し、803万部を発行した防災ブック「東京防災」のデザインおよび編集を、株式会社電通と共同で手掛けた。警告色である黄色と黒のストライプをキーアイコンに用いて、もしもの時にも見つけやすいデザインとなっているほか、災害を疑似体験するようなマンガや、対処方法をわかりやすく図示したイラストなどを使用し、ユニバーサルデザインにも配慮。また、幅広い年齢層の防災意識を高めるために、エンターテインメント性を重視した編集を行った。

WORLD THEATRE FESTIVAL SHIZUOKA (2019年)

静岡に拠点を置くSPAC(公益財団法人 静岡県舞台芸術センター)が主催するパフォーミング・アーツの祭典「ふじのくに⇄せかい演劇祭」のリブランディングを行った。国際的な祭典であることをアピールするため英語タイトルを主軸としたロゴを開発するとともに、地球(WORLD)、旗(FESTIVAL)、富士山(SHIZUOKA)という3つのアイコンで構成した人型のパターンも設計。また、仮面を用いたキーヴィジュアルで、演劇という芸術が持つ魅力や本質を表現した。

PLOTTER (2017年)

創造力によって未来を切り開く人々の思考を促す「究極のアナログツール」を提供するブランド「PLOTTER」のリブランディングおよび商品デザインを担当。システム手帳の機能を因数分解し、メモパッド、ダイアリー、スケール、ホワイトボードなどを単体で使用できるアイテムとしてデザインすることで、従来のシステム手帳とは異なる購買導線によって高いユーザーエクスペリエンスを追求した。

YAMAMOTOYAMA (2017年)

「江戸の粋への原点回帰」をコンセプトに、日本が誇るお茶の老舗企業「山本山」のリブランディングを行った。創業期のお品書きなどに使用されていた屋号紋を使用しつつ、1690年頃の英字書体と組み合わせ、江戸時代の美意識や空気感を再現した。また、江戸の伝統的な色や巻物という書物の構造を引用することによって、老舗の魅力を保ちながら、現代的で格調高いパッケージへとリデザインしている。

SACHI HOUSE (2017年)

入院患者の方々が人生の尊厳を取り戻し、看護師にとってもやすらぎの場として機能する「家」のような医療福祉施設をデザイン。三角形という特殊な形状の敷地に合わせて空間を構成し、さらに地元の間伐材を用いることで、地域の自然や生態系に寄り添った建築に仕上げた。

太刀川英輔
太刀川英輔

1981年神奈川県生まれ。デザインストラテジスト。NOSIGNER代表。慶應義塾大学特別招聘准教授。ソーシャルデザインで美しい未来をつくること(デザインの社会実践)、発想の仕組みを解明し、社会の進化を生む変革者を増やすこと(デザインの知の構造化)を目標に掲げ、主にSDGs(持続可能な開発目標)の分野で数多くのデザインプロジェクトを手掛けている。代表作に2011年の震災直後に立ち上げられたwikiサイト「OLIVE」。2015年に電通と共同でデザインおよび編集を手掛けた「東京防災」など。

関連サイト
           
デザインノート
アイデア
イラストノート