子供の頃から絵を描くのが好きだったんです。デザイン系も興味はありましたが、人からの要望に応じてつくるのは苦手なので、絵なら自分一人で考えて完結できると思い、油絵を選びました。
学科ごとの授業や教室、アトリエ等は定められていますが、積極性や誠意を持つことで、やりたいことは何でもできます。また先生も、それを後押ししてくれます。一時期、絵を描けなくなった時は映像学科の授業に混ぜてもらって、録音や照明、編集の方法や、アニメーションをつくったりしていました。そういう回り道を許してくれる環境なんです。いろいろ経験したことで、絵にしかできないことがあるんだということがわかり、自然ともとの場所に戻ってきました。
年々自由度が高くなり、3年次からは課題も自分で設定します。全部自分で考えて決めなければいけないので大変だと感じる人もいるかもしれませんが、僕はやりやすかったです。むしろ課題を与えられ、興味が持てないものに対して絵を描くことのほうが、どこかで無理をしなければいけないので苦労しました。1、2年生の頃はデッサンやスケッチの授業が多かったのですが、後になって、基礎からしっかり学んでスキルを身に付けることの大切さがわかりました。描きたいという気持ちだけではどうにもならないことがありますから。
出身が北海道なので、生まれ育った環境が絵に影響していると思います。冬の凛とした空気感や、真っ白な雪に反射する街灯の光、春になると咲き誇る庭の草花。そういう自分が見て感じてきた記憶をイメージして描いたりしています。タイトルは、完成した絵を見ていると言葉が浮かんでくるんです。自分が絵を描く時は言葉とつながりが深くて、音楽を聴いていると歌詞と旋律から映像が見えてくることがあるんですが、その関係性に近いかもしれません。
あまり先のことに捉われず、今やるべきだと感じたことを集中してやっていこうと思っています。絵は嘘をつけない。自分の本当のものしか映さないということがわかったので、自分の生き方に嘘をつかずに絵と向き合っていきたいです。油絵の知識だとか誰が描いた絵だとか、そういうことは一切関係なく、ただ純粋に楽しんでもらえたら幸せだろうなと思うので、観る人がちゃんと受け取れるようなものをつくりたいですね。
田野勝晴さんの作品
新型コロナウィルスの影響下で制約が多い中、今できることを考え描いていた作品です。アクリル絵具を使い、自分の記憶や生まれ育った土地の気候がもたらす肌感覚を配色に反映させつつ、何にも囚われずすばやく描ききることを意識しました。