空山基(1947-)の新作個展「Sex Matter」と「Trex」 が2 箇所同時に開催される。 空山基は、人体と機械の美を追求した作品で、国内外で伝説的な存在となっているアーティスト。その名を 世に知らしめた作品「セクシーロボット」シリーズ(1978 年-)では、女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた。1999 年には、ソニーが開発したエンター テイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザイン、2001 年には、世界的ロックバンド、エアロスミスの「Just Push Play」(2001)のアルバムカバーを手掛け、近年もキム・ジョーンズと手がけた Dior Homme とのコラボレ ーションで大きな話題となった。
空山はタブーを否定する。例えば、人間の裸を晒すことを社会的に抑圧するという事に、賛同しない。 同様に政治的、宗教的タブーにも、その作品表現において、果敢にチャレンジしようとする。空山にとって、 これはパンクやダダではなく、正直であり、黙る事より語る事で問題は解決されるべきだと空山は確信しており、 そのために時に子供のようにイノセントであろうとする。結果的に、空山は人一倍ラディカルであろうとする。 Nanzuka における個展「Sex Matter」において、空山はこうした性のテーマをモチーフにしたロボットの作品にチ ャレンジした。一見すると、奇妙な図式だが、空山は世の中に男と女がいる事によって生命が誕生するという事実を、こうした作品で強く明示している。また、身体改造、ポストヒューマンボディ、AI といったテーマの先の未来における新たな問題提起を暗示しているとも読み取れる。
本展では、新作のヒューマ ンスケールサイズの新作彫刻作品の他、新作のペインティングを 10 点程度発表予定。 また、渋谷パルコ内の Nanzuka 2G における個展「Trex」では、昨年 10 月にタイのバンコクで先行発表した新作の鋳物製の彫刻作品を5 点、ティラノサウルスの他、ステゴサウルス、ラプトルなどを描いた新作恐竜ロボットシリーズのペインティング作品を発表する。
2020.03.24