美術系・クリエイター系の 大学通信教育で学ぼう!

美術系・クリエイター系の 大学通信教育で学ぼう!
―「リカレント教育」のススメ―

取材・文=横山美和 写真=山田ミユキ デザイン・イラスト= Imperfect

世界有数の長寿国である私達の国では「人生100 年時代」と題して、今、様々な取り組みが進められている。その一つに「リカレント教育」というのがある。「リカレント教育」とは学校教育を終え、社会人になった後も、各々必要なタイミングに応じて、再び、教育を受け、その学びを、仕事に、社会に活かすといったサイクルを繰り返す教育制度のことを指す。そこで、本特集では「リカレント教育」の一つである「大学通信教育」に着目し、社会人の学び直しを応援する「美術系・クリエイター系の大学通信教育」を紹介していく。

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大学通信教育とは?

大学通信教育は、昭和22年に学校教育法によって制度化され、昭和25年には正規の大学教育課程として認可(文部省認可通信教育)されました。学びたい人たちのニーズとともに70年以上にわたって実施されています。また、1999(平成11)年4月には、大学院でも修士課程の通信教育が始まり、博士課程においても2003(平成15)年4月に開設されています。仕事と両立させながら学べる大学通信教育は、いつでも、どこでも、だれでも、何でも学べる教育機関として、今後その発展がますます期待されています。現在、42大学、26大学院、11短期大学が門戸を開放しており、全国でおよそ24万人がそれぞれの学習動機に合わせて学んでいます。

学習方法の特色

大学通信教育の学習方法は、大学通信教育設置基準(文部科学省令)によって、①印刷教材等による授業②放送授業③面接授業④メディアを利用して行う授業の4つが規定されています。印刷教材等による授業は大学通信教育の中心的な学習方法で、大学から送付または指定されたテキストを学習し、与えられた課題に沿って学習成果を報告(リポート)して添削指導と評価を受けます。さらに、印刷教材等による授業だけでは不十分な科目や学習内容もあることから、面接授業(スクーリング)や放送授業(主に放送大学が実施)が行われています。また、メディアを利用して行う授業は、インターネットなどの遠隔授業の形態をとっています。

4つの履修方法

大学通信教育には、 学ぶ目的や動機、入学資格などによって、大学や短期大学の卒業を目指す正科生以外にも、特定の科目を履修する科目履修という方法があります。① 正科生(正規の課程)② 聴講生(科目等履修生)③ 科目別履修(科目等履修生)④ 特修生(科目等履修生)といった大きく4つの履修スタイルに分けられます。

入学について

「正規の課程」に正科生として入学するには、大学入学資格が必要です。一般的にいえば、高等学校を卒業またはそれと同等以上の学力があると認められた者、あるいは高等学校卒業程度認定試験(旧大学入学資格検定)に合格した者等となっています。また、多くの大学・短期大学では、毎年4月(前期生)と10月(後期生)の2期を入学時期としており、それぞれの出願期間を広く設けてあります。入学選考は、原則として書類選考で入学の可否が決まります。このため、「入学案内」の中にある入学志願書に、最終学歴の成績・卒業証明書(高等学校卒業であれば調査書)等を添えて出願します。なお、一部の大学・短期大学では、「健康診断書」、「志願理由書」、「小論文」などの提出も必要です。その他、高等専門学校の卒業者、専修学校の専門課程(修業年限が2年以上で、課程の修了に必要な総授業時数が1、700時間以上であることが必要)の修了者は大学・短期大学に、短期大学の卒業者は大学にそれぞれ編入学することができます。また、短期大学の卒業者が短期大学へ、大学の卒業者が大学に再入学(大学の場合は学士入学という)する事も可能です。

卒業について

大学の場合は、4年以上在学し124単位以上を修得しなければなりません。短期大学の場合は、2年(または3年)以上在学し62単位以上を修得する必要があります。また、大学の場合は124単位のうち30単位以上(大学によって異なる)、短期大学の場合は62単位のうち15単位以上(短期大学によって異なる)を面接授業によって修得しなければなりません。ただし、途中年次への編(再・転)入学者は、在学年数が短縮され修得単位が軽減されます。卒業にあたっては、卒業直前に、多くの大学・短期大学では卒業試験を実施します。卒業論文と総合面接試問とに分かれ、これに合格しなければなりません。卒業試験に合格し、教授会での選考を経て卒業が決まります。卒業すれば通学課程の卒業生と全く同じ資格、大学では学士、短期大学では短期大学士の学位が授与されます。卒業時期は、毎年3月と9月の2回になっています。

【出典:公益財団法人私立大学通信教育協会https://www.uce.or.jp/

- Interview -
「大学通信教育」のススメ

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【Profile】
大手前大学通信教育部
現代社会学部現代社会学科4年
原 奈々さん(40歳)

短期大学を卒業後、メーカー勤務・専業主婦などを経てIT系企業勤務。IR部門への異動をきっかけに、大手前大学通信教育部現代社会学部現代社会学科3年次編入学。この2月から保育系企業のIR担当として転職。小学生と中学生の2児の母でもある。

入学のきっかけ

人生100年時代、40歳は経験豊富な年頃に見えます。しかし生涯現役で働くことを考えると、「これからまだ成長できるのではないか」そう考えました。私はこれまで様々な事務職を経験してきましたが、情報技術の発達により自動化が進む中、「自分が必要とされ続けるにはどうしたら良いのか」を考え、担当分野(IRや経営企画に関すること)を学び直すことに決めました。コロナ禍で自分を見つめ直す時間が増えたのも大きかったと思います。我が家では夫も働きながら大学院で学んでおり、また育児もある程度落ち着いたので「今がチャンス」と思い、大学通信教育の門戸を叩きました。


私が大手前大学に進学した理由

私の目的は「この先20年通用する知識・スキル」を身につけることでした。通信大学を調べると、本当に多くの魅力的な大学・講座があります。しかし、仕事と家庭の両立を考えた時、学びたい科目だけではなく、時間的制約、学費なども選定条件に入りました。そんな中、大手前大学はオンラインだけでも卒業できる点、24時間いつでも受講できる点、4クール制のため、一つの科目を2〜3ヶ月で履修でき計画を立てやすい点が、私の生活にフィットしました。さらには、同大学がデジタルハリウッド大学(およびデジタルハリウッド講師)との提携科目「デジタルクリエイティブ科目」を開講している点にも大きな魅力を感じました。


「デジタルクリエイティブ科目」と私

「デジタルクリエイティブ科目」では、AdobeのIllustratorやPhotoshopを使ってグラフィックデザインを学ぶ授業、Dreamweaverを使って実際にコーディングしながらWebページを制作する授業、Premiere で映像制作を学ぶ授業など、計6科目が用意されていて、基礎から応用まで学ぶことができます。実際に手を動かして制作し、毎回授業後には課題の提出が求められ、一通りの作業を体で覚えることができます。わからないことは学修管理システム上のメールで質問すると、担当教員のフィードバックを受けられます。自宅にいながらマンツーマンの授業を受けているような感覚でした。私自身は事務職ですが、仕事にも大変役立つスキルだと思います。たとえばホームページのデザインを依頼する時など、基本的な知識の有無で依頼先とのコミュニケーションが変わります。自分が全く知らないことを人に頼むのは難しいことです。ここで学んだことで、自信を持って先方と話せるようになりました。


「社会人の学び直し」を考えている人たちへ

人間は、成長し続けたい生き物です。いつ勉強を始めても決して遅くはないと思って、私は日々学んでいます。大学卒業後は、MBAを取ろうか検討中です。楽しみながら成長し続けたいと思っています。

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大手前大学050517_西宮_096.jpg大手前大学通信教育部
現代社会学部
現代社会学科

実社会が抱える様々な課題を解決、総合的な資質や能力を養うことを目的として2010年春に開設された。インターネット上からログインするオンライン学修システム「el-Campus」をベースに、オリジナルのデジタル教材で学ぶeラーニングを学びの中心としているため、いつでも必要な時に自律的に勉強ができ、オンライン学修のみで卒業可能。また、必修科目がないため、学びたい科目を自由に選び、自分だけの学びを追究できる。その他、デジタルハリウッド大学との提携で開講されているデジタルクリエイティブ科目も用意されている。在学生は約3000人。

https://dec.otemae.ac.jp/

2022.07.26

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