2021年1月30日から4月11日まで、東京都庭園美術館で「20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?」展が開催される。本展では、多摩美術大学との企画協力により、株式会社竹尾のポスターコレクションから構成主義のポスターを厳選し、一堂に公開。早春から桜の季節にかけて、この時期だけの庭園の風景とともに美術館でのひとときを楽しむことができる。
《開催概要》
展覧会名:20世紀のポスター[図像と文字の風景]―ビジュアルコミュニケーションは可能か?
会 期:2021年1月30日(土)-4月11日(日)
会 場:東京都庭園美術館 本館+新館
開館時間:10:00-18:00 (入館は閉館の30分前まで)
休 館 日 :2月10日・24日、3月10日・24日、4月5日
※2021年4月より、休館日が毎週月曜日に変更となります。
入 館 料:一般=1,100(880)円/大学生(専修・各種専門学校含)=880(700)円/中・高校生=550(440)円/65歳以上=550(440)円
※( )内は20名以上の団体料金
主 催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都庭園美術館、日本経済新聞社
企画協力:多摩美術大学
特別協力:株式会社竹尾
後 援:在日スイス大使館
年間協賛:戸田建設株式会社、ブルームバーグ・エル・ピー
1910~20年代のヨーロッパで生じ、芸術・デザインに革新をもたらした"構成主義"は、特にビジュアルデザインの領域において、図像と文字を幾何学的・抽象的な融和のもとに構成しようとする特徴的な表現様式をもたらしました。エル・リシツキー、ヤン・チヒョルト、マックス・ビル、ヨゼフ・ミューラー゠ブロックマンなど、数々のアーティスト/デザイナーが時代を超えて共有したこの様式は、広くビジュアルデザインの可能性を拡張する試みとして発展を重ね、今日のビジュアルデザインの基盤を形成します。本展は、この潮流のもとに世に送り出され、時代を彩った"構成的ポスター"が、20世紀を通じて織りなした図像と文字の風景を、竹尾ポスターコレクション(多摩美術大学寄託)により辿るものです。展示される個々のポスターが示す鮮やかな創造力、そしてそれらのポスターが総体として示す歴史的な継承と発展のプロセスをお楽しみください。
●本展の構成
本展は全体で3章からなり、構成的ポスターが20世紀を通じて遂げた発展と変容のプロセスを、130点のポスターを通じてたどります。
1 図像と文字の幾何学(15作家・52点)
戦後のビジュアルコミュニケーションのあり方を導く歴史的役割を果たしたスイス派、ウルム派に代表される構成的ポスター=インターナショナル・スタイルの継承と展開をたどります。
出展デザイナー: エルンスト・ケラー、ヴァルター・ケッヒ、リヒャルト・パウル・ローゼ、ハンス・ノイブルク、ヨゼフ・ミューラー゠ブロックマン、カルロ・ヴィヴァレリ、ロベルト・ビューヒラー、エミール・ルーダー、アルミン・ホフマン、パウル・グレディンガー、カール・ゲルストナー、マックス・ビル、アルミール・マヴィニエ、メアリー・ヴィエイラ、オトル・アイヒャー
2 歴史的ダイナミズム(11作家・18点)
インターナショナル・スタイルのルーツともいうべき、第二次世界大戦以前に登場したロシア構成主義、バウハウス、ニュータイポグラフィを象徴するポスターを展示します。
出展デザイナー: オイゲン・エーマン、ヘルベルト・バイヤー、ベルナール・フランシス、カール・オットー・ミューラー、テオ・バルマー、エル・リシツキー、シュテンベルク兄弟、ワレンチーナ・クラーギナ、ヘルマン・アイデンベンツ、ヤン・チヒョルト、ジャック・ナタン゠ギャラモン
3 コミュニケーションのありか(11作家・60点)
1970年代以降、インターナショナル・スタイルを背景に登場したニュー・ウェイヴ、ポストモダンデザインと称される潮流を、11名のデザイナー/60点のポスターを通じてたどります。
出展デザイナー: ウォルフガング・ワインガルト、ウィリィ・クンツ、キャサリン・マッコイ、ウィリアム・ロングハウザー、エイプリル・グレイマン、ジョルジオ・カムッフォ、ジャン゠ブノワ・レヴィ、スコロス゠ウェデル、オクタヴォ、ザイアン
●みどころ
1 ビジュアルデザインの原点であるポスター群を一望できる展示
ポスターが呈示するのは、「図像と文字の織りなす風景」です。本展では、幾何学的な画面構成のうちに図像と文字を融和させる「構成的ポスター」に焦点をあてるものです。現代のビジュアルデザインを基礎づけるポスター群を一望し、現代のビジュアルデザイン文化の源流を探ります。
2 物語を読むように構成的ポスターの発展を辿ることができます
1920年代の勃興から90年代のコンピュータグラフィックスに至るまで、構成的ポスターは様々にかたちを変えながら進展しました。同様の傾向を持つデザインは、現代社会においても大きな役割を果たしています。
本展では、構成的ポスターが映し出した図像と文字の風景の変遷と光芒を、様々な視点から、物語を読むように辿ります。
3 ポスターとは何か、いま、ポスターをいかに見るべきかという視点を提供します
構成的ポスターが用いた書体/用紙/スタイルの発生、発展、共有のプロセスを通じて、そもそもポスターとは何か、いま私たちはポスターをいかに見るべきかの視点を提示し、デジタル化がますます進む現代、そして未来におけるポスターの存在意義を問います。