創立50周年を過ぎ〝第2開学期〟ともいえる新たなスタートを迎えた東京造形大学。デザイン学科に8専攻領域、美術学科に2専攻領域を有する同大学は、専門分野について深く学ぶ専門科目に加え、領域を超えて幅広い知識や技術を習得できるカリキュラムを展開。特に「ハイブリッド科目」は、専門の異なる教員や学生が交流しながら授業が行われ、自らの専門分野以外の視点の獲得と新たな発見につなげることができる。
「デザインおよび美術の意味は、単なる自己表現というより、社会に責任をとる表現である」とは、創立者桑澤洋子の言葉である。東京造形大学では、その理念を守り、さらに発展させていくため、長年親しまれてきたロゴマークを新デザインでリニューアルした。これまでに築き上げたものと新しいものを融合させた、東京造形大学らしいイメージを追求したデザインとオリジナルフォントは、次の100年をリードするクリエイターやアーティストにふさわしい佇まいとなっている。
ロゴマークに添えられた「だれかで終わるな。」のタグラインには、今まで以上にデザインや美術の力が必要とされる社会だからこそ、想いをカタチにできる人になってほしい、というメッセージが込められている。
デザインや美術の創作活動を時代の精神や社会の創造に深く結び付いたものとしてとらえ、それら造形活動を広く社会的な観点から探究し、進取の気概を持って創造的に実践する―。東京造形大学の建学の精神は、混迷の度合いを深める現代において、いっそう強い輝きを放っている。
たとえば、レオナルド・ダ・ヴィンチの没後500年を記念して2020年1月に開催された『夢の実現』展の成功は、その好例といえるだろう。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画、彫刻、建築、工学系発明品など約30点の未完作品を、最新の研究や技術を駆使して復元・完成させる壮大なプロジェクトである。一連の復元作業には100名以上の在学生・教員・卒業生が参加し、まさに東京造形大学が一丸となって取り組んだ活動となった。この「誰も見たことのないレオナルドがここに」をテーマとした企画展は大きな反響を呼び、同展には1万人以上が来場。今後は巡回展示も予定されている。
世界のあらゆることが〝造形〟によって構成されているからこそ、造形の力を磨き高める〝学びの場〟が必要となる。4年間という限られた時間の中で、デザインや美術の力で、どのように社会に関わっていくかを見い出す。その学びの場が東京造形大学だ。