<この記事はデザインノート Premium 西澤明洋の成功するブランディングデザイン / イラストノート Premium よー清水の仕事「夏の美術学校特集2022」からの抜粋です>
社会に新たな価値を生み出し、さまざまな課題をアートとデザインの力で解決していく、多摩美術大学。
コロナ禍の影響により、創造的な活動や発表の機会の制限は続いているが、在学生や卒業生、修了生たちは逆境に負けず、目覚ましい活躍を見せている。
『上野の森美術館大賞展』では、油画卒業生である渡辺愛子さんの上野の森美術館絵画大賞、日本画4年の江越里南さんの優秀賞ほか、13名が入選。『第25回文化庁メディア芸術祭』では、大学院情報デザイン2年の花形槙さんがアート部門新人賞、メディア芸術卒業生の木下麦さんがアニメーション部門の新人賞をそれぞれ受賞した。
また『ADFミラノサローネ デザインアワード2022』では、プロダクトデザイン卒業生の小川莉咲さん、川島与実さんが最優秀賞を受賞。若手の登竜門『JAGDA新人賞』には、前原翔一さん、佐々木拓さん、竹田美織さんら3名の卒業生が名前を連ねた。
もちろん、在学生も負けてはいない。環境デザイン4年のグループが『第16回ダイワハウスコンペティション』で最優秀賞を受賞。彫刻4年の柴田まおさんが『TOKYO MIDTOWN AWARD』の優秀賞を受賞。ここで学んだ一人ひとりの本気が、新たな表現を生み出している。
30年以上にも及び産学連携による社会実装を行ってきた多摩美術大学だが、近年ではサステナビリティ(CSR)に代表される時代の要請にも積極的に応え続けている。
2021年5月には、統合デザイン学科の永井一史教授らのもと、企業5社との循環型社会に向けた共創プロジェクト『すてるデザイン』がスタート。デザインの力で廃棄物に新たな価値や魅力を創出する社会課題解決型の取り組みである。
また、プロダクトデザイン専攻の中田希佳教授のプロジェクトでは、有害物質を排出しない画期的な「水発電技術」を開発したE・F・E株式会社との産学共同研究が進行中だ。同社の技術にアートの視点やデザインの魅力を加え、新たなビジョンを生み出し、提供することを大きな目的としている。
ほかにも、テキスタイルデザイン専攻の川井由夏教授を中心に地元産業との取り組みとして八王子織物工業組合との共同研究を『JFWジャパンクリエーション』で発表。インテリアブランドのイデーの協力で、2021年秋冬のディレクションに基づいたクッションカバーの生地デザインが話題を呼んだ。多摩美術大学は、多様なプロジェクトで、持続可能な社会の実現に向けた答えを示し続けている。